あとがき

 ゼロ年代後半、ワーキングプアや非正規雇用者といった言葉が大流行しました。
 働いても働いても貧しい生活から抜け出せない若者たちに、世間はおおむね同情的でし
た。一方であまり同情されなかったのがニートと呼ばれる人たちです。インターネット上は
ともかく、当時も今も現実社会ではニートへの風当たりは強いです。働く気がないやつに生
きる資格はない。選ばなければ仕事はいくらでも見つかる。つべこべ言わずに働け。そんな
感じです。
 しかし見落としてはいないでしょうか。ニートの中には、働く気があるかとか仕事が見つ
かるかとか以前の問題の人もいっぱいいるのです! 何回練習しても逆上がりができない
人がいるように、何回チャレンジしてもまともに働けない人もいるのです! 絶望的に働くの
が苦手な底辺中の底辺。ニート・オブ・ニート。それがこの小説の主人公です。そしてこの
小説は、そんな主人公が働けるようになるのに必要ななにか≠見つける物語です。
 ……なんて言って、本当は楽しい小説が書きたかっただけだったりして。
 楽しんでもらえましたかね?


 伊瀬カツラの新都社での活動はこれでおしまいです。
 これは前作『ラストメンヘラー』を連載していたころから決めていたことで、深い理由は
ございません。小説の執筆自体はこれからもつづけるつもりです。書きたいお話、まだまだ
たくさんありますしね。『オナニーマスター黒沢』にはじまり『冥土Haaaan!!!』に終わる
新都社でのキャリアがいつか初期三部作という位置づけになればいいなと思っています。
 長い間応援してくださったみなさまには感謝してもしきれません。コメント欄を見るたび
に毎回励まされていました。ちょっとクサいですが、みなさまからいただいたコメントはど
れも大切な宝物です。美しいイラストで『冥土Haaaan!!!』を支えてくださったはなびしさ
ん、作品を発表する場を与えてくださった新都社の運営各位にも、この場をお借りしてお礼
申し上げます。ありがとうございましたッ!
 今後の活動はブログでご報告いたしますので、暇なときにでも覗いてやってください。
 ではまた次回作でお会いしましょう。ノシ


 二〇一一年五月
                                                 伊瀬カツラ
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